「ほわいとさんぽう2」特等特別室乗船記:乗船日1998年8月中旬
「おれんじ7」特等特別室乗船記:乗船日1998年12月30日〜31日
「ニューかつら」一等特別室乗船記:乗船日1999年1月2日〜3日
「フェリーむろと」一等特別室乗船記:乗船日1999年1月3日
「おれんじ8」特等特別室乗船記:乗船日1999年8月1日〜2日
「再びおれんじ8特別室ワンナイト」:乗船日2000年11月10日〜11日
「フェリーこうち」一等特別室乗船記:乗船日2001年1月5日〜6日
■「ほわいとさんぽう2」特等特別室乗船記:乗船日1998年8月中旬
ほわいとさんぽう2(愛媛阪神フェリー)
1981.6.6就航 10,181トン 速力20.0ノット 旅客定員 1,050名
神戸22:30〜5:50今治6:10〜8:00松山
松山11:50〜13:40今治14:10〜21:30神戸
片道4,980円(2等)〜18,470円(特別室)(復路1割引)
注:上記運賃は乗船時のもの。98/10/01に値下げされています。
往路はお盆の帰省ラッシュで六甲アイランドの乗船受付は大混雑。出港は遅れるし、特別 室前の特等ラウンジにも毛布と枕が置かれて人が寝ているし、で大変でした。松山では一旦下船しないといけません。松山観光港には何もないので、松山駅まで行って朝食をとり、お弁当を買い込んで戻ってちょうどよい時間でした。
この航路は瀬戸3橋をすべてくぐるのが特徴です。明石大橋は、通過直後にライティングが消える瞬間を見ることになりました。デッキは夏でも風が強くで寒かったです。帰路は予定より30分も早い通 過で、案内放送もなく、気づいたときには後方に通り過ぎていました。部屋には一応3橋通 過予定時刻が書いてあるんですけど・・・。
特別室(キング)の設備は、居間は約10畳でソファセット、テレビ、冷蔵庫、電話、寝室は約6畳でシングルベッド×2、あとユニットバスです。緑茶ティーバック、お湯の入った魔法瓶、ユカタ、バスタオル、ハンドタオル、ドライヤーが部屋備えつけ、アメニティはハブラシ、シャンプーなど。クイーンの部屋は居間が少し狭く8畳くらいです。
就航以来の内装のままなのか、壁紙が薄汚れていて、あんまり感じがよくない。寝室の壁に大きな孔雀の壁画が描かれているので、ちょっと張り替えにくい事情もあるんだと思います。また、居間と寝室に区切られているので、広さを実感しにくいです。寝室だけなら、特等の方が広く感じられるかも知れません。冷蔵庫の中身はすべて無料で、特に愛媛の地酒が嬉しいサービス(^_^)。ただし、往路は折り返し便で、中が補充されておらず、ビールはなかったし、帰路も入れたてで冷えてませんでした……。
特別室の前は特等ラウンジで、昼間ならブラインドをあげて、フロントビューで外の景色を存分に楽しめます。瀬戸内航路は島も多いし、また行き交う船もいろいろで、窓の外の景色は飽きないです。
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1998年秋の台風で岸壁に衝突して壊れてしまいましたけど、無事復活して、年末のおれんじ7乗船中にその船姿を見ることができました。
かつての豪華フェリーも就航後20年を経過してさすがに古くなった印象は否めません。その間には運行会社の危機もありましたけれども、昼行の瀬戸内海航路の船として、いつまでも頑張ってほしいものです。
(1999年1月1日初稿、1999年10月17日修正加筆)
■「おれんじ7」特等特別室乗船記:乗船日1998年12月30日〜31日
おれんじ7(四国オレンジフェリー)
1994.3.28就航 9,917トン 速力22.5ノット 旅客定員 604名
大阪南港13:30〜20:10新居浜20:40〜21:50東予22:40〜大阪南港5:50
片道3,900円(2等)〜13,390円(特別室)(復路3割引)
注:1999年7月27日以降、この時間帯は「おれんじ8」が就航、
「おれんじ7」は下り3便、上り1便の時間帯に変更
周回コースなので、あらかじめ往復の乗船券を購入しておくと、大阪南港発着で、途中下船せずに16時間20分(+大阪到着後1時間40分の船内休息可)の船旅を楽しめます。
特別室は、セミダブルベッド×2、バス、トイレ、テレビ、長いソファー1脚、一人掛けソファー2脚、テーブルという設備です。冷蔵庫がないので、飲み物調達にも部屋から出ないといけないがちょっと不便でした。おやつやおみやげを冷蔵庫に入れておきたいこともあるし、設置を検討していただきたいものです。あと、ベッドにベッドパッドがないのも困ったものです。
部屋の広さは20畳くらい。内装は新しく気持ちよい部屋です。部屋には、フェリーせんべいと緑茶ティーバック、お湯の入った魔法瓶、ユカタ、バスタオル、タオル・ハブラシのセット、ドライヤー、ボディシャンプー、ヘアシャンプーが用意されていました。タオル・ハブラシのセットは「オレンジフェリー」のロゴ入りで持ち帰れます。なかなか上質なタオルなので、しっかり往復分ゲット(^_^)。
この部屋の特徴は、室内の一角にイスとテーブルを置いたデッキがあることです。1畳強のスペースですが、足元まで窓になっていますので、オープンスペースに出ることなく、窓の外の景色を存分に楽しめます。途中、「ほわいとさんぽう」(?)とすれ違うのが見えました(18:40頃)。
パブリックスペースでは、後部最上階の展望ラウンジが広々として素敵でした。展望風呂には、ジャグジー、うたせ湯、サウナが揃っています。昼食と夕食時のレストランは、半カフェテリア方式で、並んでいる小皿料理を取ってもいいし、数種類の定食類を頼んでもいい。気取らない家庭的な味の食事を楽しむことができます。
大阪帰着は5:50ですが、7:30まで船内休息できます。船が着いても急いで降りる必要はないわけで、最後にとってもゆっくりした時を過ごすことのできる何とも心憎いサービスです。船内レストランの朝食バイキングの営業時間も7:20まで。
総合評価:レストランは、特に豪華なものが食べられるわけではないのですが、リーズナブルな価格設定と、家庭的でおいしい味は一番のお気に入りです。また、年会費1000円のおれんじ会員になると往復とも2割引になるというありがたい制度があるのも嬉しいところです。
(1998年12月31日初稿、1999年10月17日修正加筆)
■「ニューかつら」一等特別室乗船記:乗船日1999年1月2日〜3日
ニューかつら(大阪高知特急フェリー)
1981.4.25就航 6,772トン 速力19.7ノット 旅客定員 1,000名
大阪21:20〜6:30高知
片道4,610円(2等)〜16,070円(1等特別室)
1990年就航の「ニューとさ」と1981年就航の「ニューかつら」の2隻があって、高知からも夜9時20分発、大阪朝6時半着の便が出ます。この日の大阪発は残念ながら古い方の「ニューかつら」でした。
特等はなくて、1等特別室が最上級船室になり、左舷側に2名用4室、1名用2室がずらっと並んでいます。シングルベッド×2、バス・トイレ、TV、一人用のチェア2個とテーブルという設備です。バス・トイレ前はデッドスペースになってしまうので、居住空間として実感する広さは6畳くらい、そうとう息苦しいです。また、掛け布団はなくて、毛布のみ。
船会社のパンフレットにはとても綺麗な写真が出ているのですが、さすがに18年前の船ですから、バス・トイレはかなり古びています。ベッドもシングルよりさらに幅が狭く、長さも短いので、大柄な方にはちょっとつらいかも知れません。内装の方は、18年の間には張り替えたこともあるのでしょう、壁紙、絨毯ともに比較的新しい感じでしたが、照明が暗いのですすけて見えます。
船室に落書き帳が備えつけてあって、乗船した船客の感想が書いてあります。「ゆっくりできてよかった」という書き込みもあれば、「『とさ』と同じ料金なのに部屋の差がありすぎる」という書き込みもありました。これは、またいつか、「ニューとさ」にも乗って見なければ・・・。
パブリックスペースは・・・ほとんど何もありません。唯一、この船で一番楽しめたのは、船首部分にある1等スモーキング・ルームです。手前に傾斜している窓に遮光カーテンがかかっているので、カーテンと窓の間に入り込むスペースがあり、そこに立てば寒い甲板に出なくてもフロント・ビューの夜景を見ることができました。
出港して港から出る頃に、帰路に乗船を予定している「フェリーむろと」が入港して来るのに出会いました。1時間ほどすると、前方に関西空港の灯が見えて来ます。ちょうど船室から正面 に見える頃(22:40頃)、飛行機が南から進入して来て、関空を通り越して方向を変え、着陸するのが見えました。その後、2:00時頃に「ニューとさ」とすれ違いました。
朝、高知港に着くと、タラップの下に、タクシーとバスが待っていて、全然歩かずに済みます。高知駅行きのバスに乗り、有名なはりまや橋で下車して、港で歩かなかった分を、橋を見たりしながら駅までブラブラと行くと、途中で朝市発見。葉っぱのついた新鮮大根1本250円! いくら何でも荷物になってしまいます。代わりに切り干し大根の細いのと太いのを1袋ずつ買いました。あと、白菜とカブの漬物。安いし美味しいし、文句なしなんですけど、涙をのんで小さいのを1袋100円也。
高知駅横ベーカリーショップの激安モーニング・サービスで朝食を取り(松山でもそうでしたけれども、四国のモーニングってほんとに安い!)、バスで室戸岬に向かいました。約1時間半の乗車で室戸岬到着。何にもないです(笑)。味も価格もまさに観光地の昼食の後、さらにバスで甲浦(かんのうら)に向かいました。
続きは「フェリーむろと」編の方で・・・。
(1999年1月4日初稿、1999年10月17日修正加筆)
■「フェリーむろと」一等特別室乗船記:乗船日1999年1月3日
フェリーむろと(高知シーライン)
1987.7.25就航 6,472トン 速力21.0ノット 旅客定員 867名
甲浦17:20〜10:20大阪
片道3,670円(2等)〜12,840円(特別室)(大阪〜甲浦、甲浦〜高知)
片道6,730円(2等)〜22,630円(特別室)(大阪〜高知)
室戸岬から、さらにバスで約1時間で甲浦(かんのうら)岸壁に着きます。途中の景色が綺麗でした。甲浦は小さな漁港みたいなところ。出港まで3時間近くあるし、乗船券を購入したあと、ぶらぶらと散策に出ました。
室戸岬の観光案内所で食事の場所として甲浦の新しいホテル「ホワイトビーチホテル」を薦められたからなんですが、ホテルの方はトイレを使わせてもらい、売店で飲み物を調達しただけで引き返しました。実は、フェリー待合室にある甲浦の案内図に出ていた「炭火焼の焼肉屋」の方に気移りしてしまったのでした。この「力ちゃん」というお店、プレハブの見栄えのしない店で、筋むかいに無煙ロースター使用のちゃんとした建物の焼肉屋もあったので、どうしようかと迷いましたけど、大正解でした。港から国道に向かって歩いて5分ほど、開店は3時すぎ、おばちゃんがひとりでやっているみたいでした。
「フェリーむろと」は大阪と足摺の間を日帰りで往復しています。大阪から夜行で甲浦経由で足摺に向かい、復路は足摺11:20発、甲浦16:40着です。これまで港に着いたら船はすでに接岸していたので、今回、着岸の様子を初めて岸壁から見ることができました。くじらマークのでかい図体を器用に反転させて、ほとんど衝撃もなく着岸させるなんて、神業としか思えません(@_@)
甲浦では4階Bデッキという高い位置への乗船でした。これまでの4隻の中で、船にエスカレータがないのも初めて。最初は船にエスカレータ!と思ったのに、いつも付いているとないのが不思議になってしまうんですね。切符もぎりも接岸作業員が兼務していたのが、なかなかローカルな感じ。これまではキリっと制服を身に付けた人でしたから(^_^)
この船も特等はなくて、最上級船室は1等特別室です。シングルベッド×2、バス・トイレ、TV、一人用チェア2個とテーブル。部屋の広さは12畳くらいありそうでした。特等のある船の特等よりは快適そうで、なかなかコストパフォーマンスの良い部屋です(^_^)。5階ブリッジのすぐ下の4階、フロントビューの窓が付いているという良い位 置にありながら、白く汚れていて曇りガラス状態だったのが残念でした。また、絨毯や壁紙も汚れていました。これまでの船との一番の違いは、ベッドが進行方向に並行でないことです。船が揺れると寝心地悪くないでしょうか?
パブリックスペースでゆっくりできるのは、4階中央のレストランあたりだけです。テーブルクロスのかかったテーブルがあってなかなか感じがよかったんですが、帰省客で満員状態ですし、お弁当を山積みして売っていたくらいですから、営業してなかったかも知れません。
この船は等級格差を実感させられる構造でした。後ろの2等部分は、エンジン音と振動がひどくて、寝られるのか心配なほど。それに毛布は有料(50円)で貸出ししてました。それが船首の1等特別 室になると、音はほとんどしませんし、羽毛布団です。等級格差が部屋の違いだけの船から、乗り心地そのものに関係する船までいろいろあるんですね・・・
今回の旅は、はじめて太平洋に出るし、船も小さいので揺れが心配でしたけれど、大変穏やかな天候にめぐまれ、まったく揺れませんでした。でも、船はやっぱり新しい方がいい(^_^)
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1999年7月27日、「むろと」は台風接近中の甲浦で着岸失敗後に座礁しました。その後のニュースでは、次々と接近する台風による波風がおさまらず、ようやく8月17日に離礁 、そのまま広島の解体所に運ぶと報道されましたが、結局修理の上、12月18日から復帰したそうです。やっと経営が軌道に乗る見通 しが立った矢先と思われる高知シーライン社にとって、大きな痛手であることは想像に難くありません。どうか頑張ってください。
(1999年1月4日初稿、2000年1月14日修正加筆)
■「おれんじ8」特等特別室乗船記:乗船日1999年8月1日〜2日
おれんじ8(四国オレンジフェリー)
1999.7.27就航 約9,900トン 速力約22.0ノット 旅客定員 750名
大阪南港13:30〜20:10新居浜20:40〜21:50東予22:40〜大阪南港5:50
片道4,100円(2等指定)〜12,000円(特別室)(オレンジ会員2割引)
7月27日の新居浜発から就航した新造船「おれんじ8」の特別室に周遊で乗ってきました。
正午過ぎ、大阪南港フェリーターミナルに着くと、「おれんじ8」の船体が見えました。もう白さが違う、乗る前からワクワクしてました。
船内のイメージは地中海なんでしょうか、随所にいろいろな色の大理石を使っていました(地中海っていうと白い大理石という感じもするけど)。エスカレータを上がると3甲板。5甲板にあるスカイラウンジまで吹き抜けのロビーは「おれんじ7」と同じ。受付でキーを受け取って、どんな部屋かとても期待しながら船首の特別 室に向かいます。途中にある特等室のドアには禁煙マークが。???。なんと全客室、そして船内ほとんど禁煙なのでした。タバコが喫えるのは、ラウンジと展望室だけになっていました。
いよいよ特別室のドアを開けると、目に飛び込んだのはお風呂、そしてその向こうの窓。わーっ、展望風呂だぁ! 杉の風呂椅子と桶まであります。使ってみてわかったんですが、洋式バスのようにバスの中しか水を流せないのではなく、ちゃんと洗い場のあるお風呂なんです(ただしトイレも洗い場のうち)。欲を言えば、もう少し長さがあったら良かったですけれども、部屋で展望風呂を楽しめるなんて最高でした。展望大浴場まで昼間からユカタで往復する勇気はないし、入浴後にまた服を着るというのもイマイチ気分がよくないですから。
部屋の広さは特等の2.5倍か3倍くらい、ゆったりした長椅子、ソファ2個、セミダブルベッド2台、テレビがあります。相変わらず冷蔵庫はなし、ベッドマットもなしで、直接シーツをかけていました。ユカタとタオルは新しいデザインに変わっていました。
乗船後、船内探検をしていると「船橋見学、船の運転室見学を希望の方は受付に申し込んでください」とアナウンスがありました。なんか、言い方が楽しい。見学を申し込んだ後、時間まで特別 室の横のラウンジで過ごすことにしました。4甲板、ブリッジのすぐ下で前面が窓の広いラウンジは、昼間の航海には最高の場所です。しかも、特等区画に入るには自動ドアという関門があるので、人はほとんど来ません(この日、昼間はドアの電源が切ってあって手動ドア状態だったせいもあるかも)。出航後、すぐに明石大橋がかすかに見えていました。まわりの貨物船をどんどん追い抜きながら、明石大橋がかなり近づいて来た頃、ブリッジに案内されました。
ブリッジでは航海士さんが真剣に見張りをしながら、追突を避けるように舵輪を操作する人に頻繁に指示を出していました。前に見せていただいた「きたかみ」の時とはちがって、瀬戸内海は本当に船が多いです。しかも水上スキーの小型船が前を横切ったりとかしますので、ハラハラします。海図を見ていたら、横の電話(無線?)で官制との交信がはじまりました。「大阪マーチス、こちらおれんじ8、ただいま**」、「おれんじ8、貴船の位 置確認しました。**あたりに漁船が出ています。風速14メートル」というような感じでした。大阪マーチスというのは、淡路島の明石大橋の近くにあって、高い塔がそうだと教えていただきました。明石大橋の通 過時は操船の邪魔ということで、ブリッジ見学は10分ほどで終了でした。
ラウンジに戻って、視界いっぱいになった明石大橋を見ていると、向こうから「さんふらわあ」の赤い向日葵がやってきました。14:30頃、日曜日なので1日クルーズか、小豆島季節便のようです。翌朝「さんふらわああいぼり」が隣に入港してきましたので、すれちがったのは「さんふらわあこばると」でしょうか。
その後、17:30頃に僚船「おれんじ7」とすれちがいましたが、太平洋フェリーのような汽笛交換というイベントはなく、静かなすれ違いでした。そりゃそうですね、多数の船が行き交う瀬戸内海で進路を近づけたり、汽笛を鳴らしたりしてたら大変です。「ほわいとさんぽう」とのすれ違いも楽しみにしていたんですが、「おれんじ7」の後だと勝手に思い込んでいた私たちは見逃してしまいました。実際は17:15頃だったそうです。それにしても若い客室係が就航1週間も経っていないのに他社の船のすれ違い時刻を知っていたことには、ちょっとびっくり。きっと船が好きな子なのかも知れません。
そんなこんなで13:00乗船、翌日7:30下船の18時間半の船旅は、実際にはもっと長い時間海にいたような満足を与えてくれました。気持ちのよい新造船で思い立ったらいつでも1日クルーズ、是非また行きたいです。
総合評価:瀬戸内海を昼間にゆっくり楽しむには絶好。特に4甲板前部の展望室は、ブリッジとほとんど変わらない視点で、しかもゆったりとした椅子に座ったまま楽しめるのが嬉しい場所です。
(1999年8月2日初稿、2000年1月14日加筆修正)
■「再びおれんじ8特別室ワンナイト」:乗船日2000年11月10日〜11日
おれんじ7の時代から勘定すると、もう4、5回目でしょうか、またまたおれんじ8で、大阪13:30発〜新居浜〜東予〜大阪5:50着のおれんじワンナイトに乗ってきました。
今回、ちょっと新しい発見があったので、久々に乗船記を書いてみようと思います。
12日の昼に出る便を予定して、予約を入れようとしたところ、何と帰路の特別室が2部屋とも予約済み。で、10日発に変更しました。誰かに乗船記を読まれて企画横取り(笑)されたのかと、一瞬思ってしまいましたが、往路は空いていたのでそうではなさそう。時節柄から考えると、関空に向かう新婚さんでも乗られたんでしょうか。
おれんじは、特等でも部屋にトイレがないので、ゆっくり乗るならやっぱり特別室しかないなぁ、と思ってしまいます。ただ、レストランにパジャマ姿のおっちゃん、おばちゃんが出没する気さくなところがありますから、自分さえ気にならなければ、ユカタでお風呂やトイレに行くくらい大丈夫そうですが。
さて、10日金曜日の昼すぎに大阪南港到着。発券カウンタで予約が入ってないというので、少々手間どって、それでも往復のチケットをゲット。見覚えのあるスタッフに出迎えられ、フロントでは、昨日お待ちしてましたと言われてしまいました。???です。予約したのは前日ですから、こちらが今日と明日を間違えるはずもなく、予約電話の担当が最近変わったばかりのようで、ちょっと不慣れだったんでしょうか? でも、以前の担当よりはるかに対応がよい子なので、頑張ってほしいです。
今回は、久々にブリッジ見学に参加させてもらいました。というより、こちらから催促してお願いしました。往路の乗客は32名だったそうで、頼まなかったらなかったかも知れません。ブリッジ見学は、明石海峡大橋通 過前の午後2時頃から15分ほど。レーダーにはたくさんの船が映っていて、それがみんな大橋に向かって集結するんですから、操船も大変です。ブリッジ中央で見張り中の船長と操舵手には話かけないように注意がありました。
海図を見ていたら、船長指揮とか何とか書いてあります。ここは必ず船長さんがブリッジに立たれるんですか、と尋ねたら、こことここは船長が指揮しますということで、明石海峡通 過のあたりと、小豆島のあたりから新居浜の手前あたりまででしょうか、全航路の半分くらいは船長さんがブリッジに立つ区間としてマークがありました。おそらく、着岸時も直接指揮でしょうから、相当激務ですね。ブリッジのすぐ下は特等ラウンジで、そこからも前がよく見えますが、瀬戸内海はほんとにハラハラするくらい船がたくさんいます。そして、船自体も結構小きざみにターンをするので、海は静かですけど、太平洋や日本海を航行する場合と違う揺れが感じられます。
前回の乗船で、東予入港中に最前部の特別室の窓から見ると、船から岸壁まですごく距離があることを発見しました。東予港の岸壁の長さが短くて、船の後半分しか岸壁に密着してなくて、前の方は斜めに切れている岸壁から距離があるわけです(図にしないと説明は難しいかな)。これは着岸の操船は見ものかなぁと思って、東予フェリーターミナルが見え、船が180度転回を始めた頃から後部甲板に出て、着岸を見ることにしました。これ、なかなか面 白かったです。すぐ下で甲板員の方々が作業しているのが見え、あと何mとか言う声もよく聞こえます。太平洋フェリーだと、部屋の窓から前部甲板での作業は見えますが、さすがに声まで聞こえませんので、今回は新鮮体験でした。
着岸ショーを見終わった頃、厨房スタッフが続々と甲板に出て来ました。何をするのかな、と思っていると、突然、非常ベルのような音が断続的にしはじめました。音のする方を見ていると、車両甲板からリフトでワゴン車が上がってきて、その車にスタッフが集まります。食材の積み込みでした。船内レストランは往復の航海の間に5回開きますが、新居浜出航後、東予入港前の40分間開いたあと、少しだけ休んで東予乗船開始後から再度開く謎が解けました。何で連続してオープンしないのかと不思議だったのですが、こういう作業があったんですね。これも新発見。甲板に残された車には、洗濯済みのリネンが積まれたままでしたので、これは後で降ろすんでしょう。スタッフも仕事が一杯ありそうです。
甲板から中央ロビーに戻るとき、カラオケルームのはずの部屋に毛布がたくさん播かれているのが見えました。まさか、ここにお客を? ロビーの窓からターミナルを見ると、大型観光バスが何台か到着しています。乗船が始まると、続々とお客さんが乗り込んで来ました。2等自由席のお客さんは、そのままロビーで待たされて、しばらくすると、何とレストラン横の普段は客席として解放されている和室と、先のカラオケルームに案内されて行きました。どうやら、2等は満席のようです。2等指定席だとマットレスがあるのに、覗いたカラオムルームは毛布と枕だけでしたから、寝るのも大変そう・・・。
そんなにたくさんのお客さんが乗り込んでも、フロントで鍵を受け取る人は少ししかいませんでしたので、上級船室は閑散として、部屋に戻れば別 世界のような静けさでした。聞けば、週末の夜行便は結構お客さんもいるそうです。往路のようにいつも閑散としていては、そのうちLOLO船(補足参照)になってしまうのでは、と心配でしたけれども、これなら大丈夫でしょうか? とにかく、人で一杯になったおれんじを初めて見たわけでした。
大阪で7時半までの船内休息時間も目一杯使って18時間の船旅、いつもどおり不思議とリラックスできる素敵な時間でした。
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補足:LOLO船と書いたら、RORO船の誤りでは? というレスがついて、しばらくロロ船談義となりました。その結果 判明したところでは、RORO=roll-on roll-off、LO-LO=lift-on lift-off の略だそうで、両方あるそうです。初期の頃のコンテナ船は箱だけクレーンで積みこむタイプ(LOLO)と、トレーラーごと積みこむタイプ(RORO)があり、区別 するために呼び分けていたらしい。現在でもこの2タイプは存在し、ROROの方はトレーラーに依存しない貨物もフォークリフト等で積みこめるため、コンテナ以外を運ぶ事も多い(例えば新聞紙用ロールペーパーなど)。LOLOコンテナ船は貨物倉内に枠があってコンテナしか積めない、とのことでした。したがって、本文はRORO船の方が正解でした。
(2000年11月12日初稿、2001年1月8日加筆修正)
■「フェリーこうち」一等特別室乗船記:乗船日2001年1月5日〜6日
フェリーこうち(大阪高知特急フェリー)
2000年7月就航 4138総トン 最大速力約22ノット 旅客定員 350名
大阪南港21:20〜6:30高知港 / 高知港21:20〜6:30大阪南港
片道4,610円(2等)〜16,070円(特別室)
2000年夏、大型フェリーばかりの大阪南港フェリーターミナルの一番端のバースに小さな新しいフェリーが登場しました。「ニューとさ」の代わりに投入された「フェリーこうち」です。前回、「ニューかつら」に乗船したときは、高知市内の観光をしてませんでしたので、今回は少し観光もしようということで、往復乗船してきました。
1月5日、夜8時頃大阪南港に到着。昨年ニュートラムからフェリーターミナルまで直接行ける連絡通 路が完成し、年末には2階待合室と1階発券フロアとの間のエレベータもできて、船のタラップまでは完全に段差がなくなりました。連絡通 路は、途中、窓のない吹き抜けで、寒波の風が痛い・・・。
乗船券購入後、長い通路を延々と進んで、初めて「フェリーこうち」を間近に見ます。車両甲板部分は壁がなく、船のお腹に大きな穴があいているよう。タラップの下で作業服の人が切符もぎりをしています。乗り込みのタラップは数段しかありませんでしたが、船の中で、普通 のビルの2階分の階段をテクテクと上ることになっていました。後で、階段とは反対側にエレベータがあるのに気づき、高知港は大阪よりさらに1つ下の甲板から乗船になるので、帰路ではしっかり利用させて貰いました。
客室は4階のワンフロアのみ、最前部の両端に一等特別室2室、中央に1等寝台4室、残りはすべて2等寝台と2等(大部屋)です。パブリックとしては、男女の浴室と売店くらい。レストランはなく、お腹が空いたときは、売店でお弁当を買うか、日冷の自動販売機で軽食を買うか、しかありませんが、運航時間から見れば、船内で食事の必要もないのでしょう。だいたい、12トン車72台に乗用車10台という車両搭載能力の書き方からして、人よりトラックの輸送を主目的としていることが見て取れます(実際には車種配分は状況次第のようですが)。
一等特別室は、シングルベット2台、テーブルとチェア2脚、このスペースの実感の広さが10畳くらい。ベッドの上の毛布は、一応花毛布風に船の形を作ってあったのが、フェリーでは初めての経験で 印象的。しかも2台のベッドで形が違います。バス、トイレ、洗面はワンルームですが結構広くて、ビジネスホテルのユニットバスよりずっとリラックスできました。あと、テレビとインターホンがあります。窓はサイドビューの1つです。船会社が配慮してくれたのか、往復ともに陸が見える側に部屋が取られていました。
しかし、この航路、1等特別室の片道が16070円ですから、往復だと割引きを使っても3万円を超えてしまいます。いろいろ乗っているフェリーの中で、最もコストパフォーマンスの悪い値段に思えます。今回、新造船の「フェリーこうち」の就航日を狙いましたが、これが「かつら」の方だったら最悪です。特別 室料が1名につき6830円もしますので、バス・トイレ付きにこだわらないなら、一等(9260円)や二等寝台(7130円)でも充分でしょう。一等と二等は船内位 置の違いだけで設備は大差ないようです。
部屋の写真を撮ったりしているうちに、ドラの音が聞こえました。時計を見ると出航15分前。船が小さいですから、放送ではなく、生の音で聞こえます。真新しい船に似合わない感じが微笑ましく思っていたら、今度は汽笛が鳴りました。これは出航5分前。窓から見ていると、定時の21時20分直前でもタラップが付いたままです。出航が遅れるのかなと思っていたら、3名ほどの係員がタラップを手で押して船から離すと同時に、船は岸壁を離れました。
港外に出て、ちょっと寒波のうねりが残っているのか、ときおり波にドーンと当たる音がしたりするものの、思ったほど揺れません。四国が見えて来た夜半頃には、すっかり穏やかになって、ちょっと 拍子抜けしました。1日前後していたら、もっと揺れて、船旅らしくなったかも知れません。月が綺麗でした。
毎度思うことですが、北海道航路と比べて南の航路は暖房温度が低いので、ゆかた1枚だとちょっと寒いくらいです。照明の方は非常に快適に調節できるようになっていましたけれども、室内温度の方は調節手段がないです(というより、吸気口はあれど、エアコンの吹き出し口というのが見当たらない・・・)。
高知到着の1時間くらい前、スラスターの轟音で目を覚まされました。船はほとんど止まりそうなほどに速度を落しています。高知港は、外洋の桂浜のところから数キロ内陸に食い込んでいる浦戸湾の奥の方にあります。湾の入り口が狭いので、離合の関係で航路を譲るためにカニバイでもしたのでしょうか? あるいは、待機する船は航路に直角の体勢で待つことになっているのでしょうか?
しばらくして50mの高さがあるという浦戸大橋をくぐり、定刻6:30に着岸、下船開始になりました。下船後は、タラップのすぐ下に待っているバスで高知駅に向かいました。駅前の高知ホテルで、正午まで朝食付き1名3000円で休憩できるというサービスを船がやっているので、それを利用することにしたのです。船と大差ないような狭い部屋で、ちょっとがっかりしましたが、せっかくだから朝食を食べてから寝ようということで、レストランに行きました。1000円の朝食を放棄するのはちょっともったいないですし。
朝食のお膳が運ばれて来て、びっくりしました。暖かい料理はすべて暖かく、どれもとっても美味しいのです。内容も、これで1000円?と思ってしまうほど充実。デザートに名産のメロン、食後にコーヒーまでついていました。前回、駅前の喫茶店のモーニングの安さにびっくりしましたけど、今回もまたまたびっくり、感激でした。そして、チェックインのときにホテル側にちょっと不手際があったせいか、別 料金になるはずだったお代わりのコーヒー代も請求されませんでした。お昼まで一寝入りした後、夜の出航まで、高知観光です。
まず、徒歩でぶらぶら高知城に行きました。最初の築城が約400年前、現在の天守閣は250年ほど前に創建時の様式で再建されたものだそうです。古い天守閣に登るのは久しぶり。はしごのような階段を登って、一番上は数m四方くらいしかないんですね。鎧カブトでここまで登るのは大変、時代劇でときどき奥方が天守にいる場面 があったりするけど、そんなことは有り得ないなぁ、などと思ってしまいました。高知城周辺の公園は掃除が行き届いて、ゴミがまったく見当たらないのが印象的でした。
お城を出たところで、待ち構えていたタクシーの運転手さんにつかまります。お昼は高知にしかない「帽子パン」でも買って簡単に済まそうと思っていたんですが、「町中でカツオを食べても冷凍品、 新鮮で安いところを案内する」というのにつられて、利用してみることにしました。行った先は、高知新港の近く、水産会社の倉庫街です。200〜300円のお皿が並んでいるのを勝手に取ってレジで清算する地元の人向けのおかず食堂みたいな所、ただし新築で綺麗です。5日が初セリでお祝儀相場だったのか、残念ながらカツオは出ていませんでした。それでも、「ねいり」という初めて聞く魚のサシミは絶品、分厚い5切れが300円なんて信じられない値段です。(大高坂:088-847-5568)
食べている間、メーターを止めて待っていてくれたタクシーで、桂浜に向かいました。途中、2時に出航したというトーラスの遠い船影を見て、朝見た海面 から50mほどの高さがあるという浦戸大橋 を渡ります。完成時には1mほどの欄干しかなかったのが、十数人も自殺者が出て、後から高いフェンスで囲んだそうです。程なく桂浜に到着。桂浜までタクシーで直行したら3000円しないと思いますが(バスは560円)、新港・浦戸大橋経由でちょっと遠回りでしたので、橋の通 行料を含めて4000円ちょっと。でも、車中で高知の歴史のお話など聞けて楽しいドライブでした。
桂浜と言えば、まず坂本龍馬の銅像ですが、思い出してみると、下まで行っただけで、銅像の方はあまり見てなかったような気がします。観光なんてそんなもんですね(笑) 期間限定で、銅像の横に「龍馬の視線で見る太平洋」というヤグラが組んであって、無料で登れるようになっていましたけれども、もう高いところは充分なのでパス。
桂浜は、浜辺にコンクリートの遊歩道が整備されていて、昼間見ればただの石杭、夜は照明になるらしい景観に配慮したライトが点々と設置されていました。ここも掃除が行き届いていて、ほとんどゴミがありません。高知城も桂浜も市民ボランティアの観光ガイドがいましたし、ハード面 では2002年の国体開催に向けて、駅前や市中の整備が進んでいるようです。民間・行政ともに観光に頑張っている感じがしました。
小さなホコラのある小高いところに登って休憩していると、トーラスかと思っていた船影がだんだん近づいて来て、なんと、「さんふらわぁくろしお」でした。近々廃止されるようなので、複雑な心境で浦戸湾に入って行くのを見送りました。
熱いコーヒーで体を暖めてから、バスではりまや橋に戻ります。途中、とても綺麗な夕日を見ることができて感激。市街に戻って、一番の繁華街という帯屋町のアーケードをぶらぶらしながら、夕食は鍋にしようと探し、メニューに一人分でも鍋ができるとあった居酒屋に入りました。
この店は大正解で、ちゃんこ鍋1700円と七輪焼き2000円を1人前ずつ頼んだつもりが、ちょっと食べ切れない分量 で出てきました。特に七輪焼きは絶対お薦めです。「めひかり」と「にょろ」いう小さな干物が珍味でした。多分、デパートの物産展でもなければ大阪では買えないと思います。「うつぼ」なんて、まず食べられるところはなさそう。肉の間に小骨が多いので、抜いているうちに皮ばかりになってしまうそうです。ちゃんこの具も下ごしらえに手間がかかっていて、店を出た7時半頃には地元の人で満席になる人気も納得です(おとと:088-820-7373)。
気持ちよく酔い加減に満腹したところで、港行きのバスにもぴったりの時間になりました。待っていると、やって来たバスの行き先表示はなんと「岸壁」。「岸壁の母」を連想して、これには笑ってしまいました。
帰路の船はほぼ満員の様子。売店前の狭いロビーにも人があふれて寝ている状態。大阪南港近くのイベント施設で若い子向けの大きなイベントがあるようで、その参加者もたくさん乗船していたようです。バスより安いのかも知れません。
こうして私たちにしては珍しく観光付きの船旅は終わりました。ほんとに高知は食べ物が安いし、そして美味しい。大阪に住んでいると、安くて美味しい店はたくさんあるので、他所では値段はともかく、味の方はあまり感激しないものですが、今回の高知は嬉しい例外になりました(タクシーの運転手さん曰く、衣料品が高いそうですけど)。往復夜行でも、午前中のホテル休憩のお陰でそんなに疲れることなく、楽しい旅ができました。